開催概要
- 行事名:「発達障害当事者会フォーラム2018」
- 日 時:平成30年1月14日(日) 12:30~16:30
- 会 場:大阪産業創造館 E会議室
- 後 援:厚生労働省・(一社)日本発達障害ネットワーク アステラス製薬助成
- 参加人数:120名 (スタッフ含む)
- ご挨拶:日本発達障害ネットワーク 市川宏伸氏 (代読)
第1部 「発達障害当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告会」
- 報告者
- 日本医科大学非常勤講師 成重竜一郎 氏
- 発達障害当事者協会 嘉津山具子 氏
7月に東京で開催された報告会と同様に、平成28年度に実施された厚生労働省障害者総合福祉推進事業指定課題15「発達障害当事者同士の活動支援の在り方に関する調査」の報告会が行われました。
まず、「先行実践事例の調査分析」については、日本医科大学の成重竜一郎先生が担当しました。
また、「望ましい当事者会支援のあり方についての関係者の意見収集・分析」は、事業委員の嘉津山が担当しました。
さらに、7月の報告会でお話しいただいた小林真理子先生と相川章子先生の資料を基に、「当事者会の必要性について」の報告も行われました。
第2部 「これからの当事者会活動を考えるフォーラム」
- 進行役
- 大阪府発達障がい者支援センター センター長 松上利男 氏
- 日本大学精神医学系臨床准教授 大賀健太郎 氏
- パネリスト
- NPO法人DDAC 広野ゆい 氏
- (一社)UnBalance 元村祐子 氏
- さかいハッタツ友の会 石橋壽志 氏
- 成人発達当事者サロン しぇあ 宮崎稔也 氏
- (一社)あいち発達障害サポートネットワーク 上口美弥子 氏
- (一社)発達・精神サポートネットワーク 金子磨矢子 氏
- 発達障害当事者協会 新 孝彦 氏
調査結果をもとに、今後の当事者活動の方向性を考えるためのフォーラムを開催しました。
パネリストとして参加した当事者会は、関西・中部地区で「発達障害当事者同士の活動支援の在り方に関する調査」に協力していただいた団体に声をかけ、了承いただいた団体の方々にご参加いただきました。
質問の内容
- 当事者会として発達障害者支援センターをどのような存在と捉えているのか。
- 当事者会として発達障害者支援センターに連携したいか、したくないのか。
- なぜ当事者会を始めようと思ったのか。(きっかけ)
- 専門家は、当事者だけでは運営は難しい(支援が必要)と言っているが当事者会としては、どう考えているのか。(率直な意見を下さい)
- 当事者が困っている点は何ですか。(茶話会等で話題にあがることを教えて下さい)
- 当事者会を運営していくコツなどを教えて下さい。(運営上の苦労をふまえて、教えて下さい)
- 当事者会に必要な支援は、どんな支援を望んでいますか。また発達障害者支援センターを含めた支援機関に望むことは何ですか。
事前に大阪府発達障がい者支援センターの松上先生に相談し、7月に関東地区で行った調査と同じ質問を、関西・中部地区の当事者会の方々にも実施しました。
今回は関東地区よりもパネラー団体が少なかったため、ディスカッションの内容をより深め、活発な意見交換ができました。
特に茶話会では、「恋愛や友人ができない」といったコミュニケーションの問題や、「障害者手帳を取るかどうかの葛藤やメリット・デメリット」について多くの意見が交わされました。
特に就労に関しては、DDACの広野さんが地域若者サポートステーションの職員として、相談者を当事者会に繋げた事例を紹介しました。
この話題は、参加した当事者会や行政機関(発達障害者支援センターなど)にとっても参考となり、会場は大いに盛り上がりました。
ディスカッション内容(ファシリテーショングラフィック)
今回のフォーラムでは、7月に東京で開催された際に、発達特性により聴覚過敏や視覚優位でディスカッションの内容を聞き取れなかったという声に応えるため、ファシリテーショングラフィックという補助ツールを使用しました。このツールは、ディスカッションの内容を視覚化して板書するものです。
ファシリテーショングラフィックは、京都府で「One day Caffe」という発達障害の居場所を運営している鈴木さよさんと奥野美里さんが担当してくださいました。
情報コーナー
今回も7月と同様に、当事者会の活動を知ってもらうための情報コーナーを設置しました。
ここでは、当事者会のチラシを配布したり、冊子を販売したりしました。
まとめ
今回のフォーラムには、大阪府、沖縄県、徳島県、神奈川県、静岡市、仙台市の6つの発達障害者支援センターから、計10名の担当者が参加しました。
九州から東北まで広範囲にわたる地域の実情を踏まえ、最後に各支援センターの担当者から講評をいただきました。
徳島県と仙台市の支援センターでは当事者会を開催しており、「非常に参考になった」との評価をいただきました。
沖縄県の支援センターからは、「親の会の当事者部会の他に、当事者のみの会が1つあり、センターと連携して活動を頑張っているので、今回のフォーラムの内容を共有して、より良い活動と支援につなげたい」と前向きな感想をいただきました。
神奈川県からは、「アスペース(神奈川県自閉症協会の当事者部会)があるが、親の会主体のため、活動が徐々に減少しており、継続が難しくなっている。今後は当事者主体の活動を考え直したい」との意見がありました。