第1回公認心理師試験の試験問題に対する意見書の提出について

お知らせ

発達障害当事者協会は、第1回公認心理師試験問題の中で、当事者の人権を著しく侵害すると思われる設問があったため、厚生労働省公認心理師制度推進室及び一般社団法人日本心理研修センターに対し、下記の意見書を提出致しました。

<該当の問題>

問91 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の基本的な特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
(1) 場面緘黙
(2) ひきこもり
(3) ディスレクシア
(4) 言葉の発達の遅れ
(5) 通常の会話のやりとりの困難

問題点

厚生労働省から出された正答は、『(5)通常の会話のやりとりの困難』となっていました。

私たち発達障害者は、言葉を発することが困難なカナータイプの重度の知的障害を伴う自閉症とは限りません。ASDの多くは、高機能の方です。高機能の方は、日常の会話は充分に出来ます。
文脈の取り違え、曖昧な指示に対する混乱などはあるものの、日常生活を送る上での意思疎通は充分に行えます。
(5)という回答を受験生に対して回答させるという行為自体、多くの国民に対して、ASD当事者は日常の会話のやりとりの困難な人という誤解を招いてしまいます。
公認心理師は国家資格です。今後、発達障害者支援センターや精神保健センター等に公認心理師の配置が義務付けられる可能性があります。
「通常の会話のやりとりの困難」が広まってしまうと、高機能の人であっても当事者の言うことを支援者は信用しない、当事者は意思疎通できない人である前提で支援を行ってしまう可能性もあります。
そのため、発達障害当事者協会として、意見書の提出をさせて頂きました。
この件に関して、公認心理師制度推進室から見解がでましたら、みな様にご報告させて頂きます。

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