【重要・ご報告】ADHD治療薬「アトモキセチン製剤」の供給について

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 当協会に、多くのADHD患者の皆様から不安が寄せられていたADHD(注意欠如・多動症)治療薬「アトモキセチン製剤」(先発品名:ストラテラⓇ)の供給不安に関し、この度、厚生労働省へ行った緊急陳情の結果についてご報告いたします。

 結論として、厚生労働省より「後発医薬品メーカーの増産により、現時点での出荷量は問題発生前(令和6年8月時点)を上回っており、供給量の観点では安定供給に大きな問題はない」との明確な見解が示されました。

1.これまでの経緯と陳情に至った背景

 ご承知の通り、国内で最も処方頻度が高いADHD治療薬であるアトモキセチン製剤は、発がん性物質(ニトロソアミン類)の混入リスクが判明したことをきっかけとして、先発品メーカーを含む一部の製薬会社が製造・出荷を停止または調整したことにより他のメーカーに需要が集中し、連鎖的に多くの製薬会社が出荷制限をかけざるを得ない状況となり、全国的に深刻な供給不安へと発展しました。

 当事者やご家族からは、「薬局を何軒回っても薬が手に入らない」「代替薬に変更したら体調を崩した」といった悲痛な声が当協会に多数寄せられておりました。この事態を打開するため、当事者や支援者による署名活動も展開されるなど、社会的な関心も高まっていました。

2.厚生労働省への緊急陳情と記者会見の実施

 この危機的状況を受け、当協会は2025年8月26日、厚生労働省に対し、アトモキセチン製剤の安定供給を求める緊急陳情を行いました。
 陳情では主に以下のの2点を要請しました。

  1. 今後の供給見通しを明確に示すこと
  2. 供給が安定するまで(安全性の確立した製品の輸入など)緊急措置を講じること

 この陳情の後、同日午後1時からは、厚生労働省内記者クラブにて、当協会代表の新 孝彦、事務局長の嘉津山 具子、事務局の山瀬 健治が出席し、記者会見を実施。陳情の内容と、それに対する厚生労働省からの回答についてご報告いたしました。

3.厚生労働省からの回答(要旨)

 陳情の席では、厚生労働省のご担当者様より、以下の趣旨の力強いご説明をいただきました。

 「確かに先発品であるストラテラは在庫がなく、出荷再開の目処は立っていません。しかし、既に市場ではジェネリック医薬品(後発品)への移行が進んでおり、各ジェネリックメーカーの生産状況を積み上げると、現時点においては、ニトロソアミン類が問題となる前の令和6年8月時点よりも出荷量は増加しています。このため、供給量の観点では安定供給に大きな問題はないとの認識です。」

 さらに、今後も増産等に向けた対応が継続して検討されているとのことです。
 この回答を受け、アトモキセチン製剤の生産・供給量は、国全体としては不足していないとのことであり、私どもは深く安堵いたしました。

4.今後の見通し

 一方で、国全体の供給量に問題がなくとも、一部の地域や薬局で薬が手に入りにくい「流通」の問題が存在することも事実です。この点についても厚生労働省にご説明し、関心をお寄せいただきました。

 当協会からの働きかけに対し、厚生労働省から「患者の不安を払拭するため、近日中に医療関係者向けに供給状況などに関する情報を提供する」とのご回答もいただいております。
 これにより、現場の混乱が解消に向かうことを期待しております。

5.おわりに

 アトモキセチン製剤は、多くのADHD当事者にとって社会生活を支える「命綱」です。この命綱が断ち切られることのないよう、迅速にご対応いただいた厚生労働省、増産にご尽力いただいている製薬企業の皆様に心より御礼申し上げます。また、本件に関心を寄せ、署名活動等で声をあげてくださった全ての皆様に深く感謝いたします。

 当協会は、今後もすべての患者が必要な治療を安心して受けられる環境が整うまで、引き続き状況を注視してまいります。

2025年8月26日
発達障害当事者協会

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